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第3回環境サスペンス「札幌の地中をめぐるミズテリー」開催しました [環境サスペンス]

第3回環境サスペンス
「札幌の地中をめぐるミズテリー -湯けむりに隠された謎-」
を開催しました。ご来場頂いた皆さま、ありがとうございます。


「なぜ火山もないのに札幌の街中にいっぱい天然温泉があるのか?」
私たちスタッフも疑問に思っていたこの謎が、今回の環境サスペンスの
はじめの謎でした。

その答えを教えて頂いたのがゲストの柴田さんです。
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柴田さんは北海道立地質研究所で札幌市内の温泉についての調査をされてきました。
こちらにその内容があります。



地中の中は地下深くになるほど温度が高くなるため、
札幌ならば深さ1000mで30~40℃にまで達します。
そこに地下水があればちょうどいい湯加減に暖められるため、
温泉として利用することができるのだそうです。
このような、温泉が「非火山性温泉」と呼ばれます。
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話を聞けば、なるほどと納得してしまいますが、
お話しを聞くまではその理由が謎でした。
温泉とは実は暖められた地下水だったのですね。
勉強になりました。


柴田さんの話をお聞きしたことで、深く井戸を掘りさえすればどこででも天然温泉を汲み出すことができるため、
札幌の都心部でも温泉が増えてきた理由がわかりました。


それでは、温泉よりも浅い場所にある地下水は札幌ではどうなっているのでしょうか?


ゲストの深見さんには地下水についてのお話しを札幌市の事例を使ってお話し頂きました。
3環サス2009_0619_190045AA.JPG
地下水は、土の中に川のような水の流れがあるのではなく、土の中の隙間に蓄えられた
水であるため、その動きの速さは川に比べたら非常に遅いのだそうです。
ちなみに札幌市の都心部は豊平川が砂や礫を運んでできた扇状地となっていますが、
この比較的水を通しやすい札幌扇状地でも、地下水の進む速さは1日に2m程度なのです。
非常に遅いですね。


このため、地下水を井戸で汲むと、周りの土の中から水を井戸の中に吸引する形で水を集める事になるので、
地下水面の高さが井戸の周りでは低くなるのだそうです。


例えば地表の川の水量減少だと、川幅が狭くなり水の流れる量が少なくなるので、私たちは見ることができます。
しかし地下水の場合は、井戸の水位(地下水面の高さ)が下がると言う形で現象が現れるところが、
ちょっと理解しにくいところでしょうか


このため、地下水は汲みすぎると徐々に水位が低下することになり、
現に札幌でも工場用水や生活用水として利用されている、深さ100mよりも深い場所の地下水を見ると、
その水位は1970年代以降10m以上も低下し、現在も水位が回復することなく低いままとなっているのだそうです。


普段、水道料金は高いなあと感じたり、渇水でダムの水がなくなる。
などと、地上にある水については、私たちも目にする機会は多いと思います。

しかし、地面の下にあり、その動きを目で見ることが難しいため、
地下水については、その存在やありがたさを私たちは感じずに
普段生活しているのではないでしょうか。


温泉やわき水など、無料で使える地下水があることで、
私たちの生活は大きな恩恵をうけている。
その事をもっと考えて地下水や温泉を適切に利用していかなければならないですね。



さて、今回は温泉がテーマと言うことで、会場の女性スタッフは浴衣姿で会場からの質問を集めて回りました。
参加された皆さんも温泉気分を味わうことができたでしょうか?

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また、冒頭で札幌街中の天然温泉をレポーターが紹介するTV番組もどき動画を流しましたが、
その中でレポーター役として、サイエンスカフェ仲間のMさんに友情出演してもらいました。
皆さまいかがでしたでしょうか。

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今回のサイエンスカフェについの裏話や質問などについても、今後このブログでご紹介していきますので、

お楽しみにしてください。


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