捜査道具-時空間マップ- [環サスのツール]
環境サスペンスの会場にお越し頂いた皆さんには、捜査ノートと聞き込みカード(質問カード)を配布しました。
【捜査ノート】
この捜査ノートに載せたのが「時空間マップ」。
今回の環境サスペンスを通じて紹介したかった情報を整理するためのツールです。
環境を語る時、同じ現場を見ていても話がかみ合わないことがあります。
その最大の理由として、各専門分野が調査の対象としている現象の調査尺度や精度が違うことによる影響が大きいのではないかとピエールは考えました。
その尺度とは、時間軸と空間軸の2つの尺度です。
この2つの軸を縦横に直交させて配置整理したのが時空間マップです。
横軸で示した時間軸は時間尺度の短さ(新しさ)と長さ(古さ)を表していますが、言い換えると現象が起きる頻度(回数)を表しているとも言えます。1年のところなら1年に1回程度、起きる現象だと理解してください。今回のお話しした一斉林が育つ時間は十数年程度で、水生昆虫による巣網によって石が固定される期間の目安が数ヶ月程度、化石の話は何百万年も前のことになります。
もう一つの縦軸は空間軸です。これは、その現象が広い範囲に起きることなのか狭い範囲で起きることなのかという空間の広がりを示す尺度となります。今回は目盛りとなる数字入れる代わりに、石ころ(の大きさの範囲)、河原(ぐらいの大きさの範囲)、札幌市
(が入るぐらいの大きさの範囲)という大まかな尺度を示しました。
この時空間マップで情報を整理すると、ある専門分野で行った調査の精度がどの程度のものかという目安を知ることができます。これが複数の視点の話をつなぎ合わせる時に重要になってくるのです。
この話の続きはまた次回お書きしましょう。
豊平川に秘められた謎-発見されたサケの木像- [環境サスペンス]
豊平川に秘められた過去はこの音楽で始まります。
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
「豊平川の川岸で巨大な木彫りのサケの像が発見された。この木像が一体いつ頃から、ここに埋まっていたのか?環境探偵ピエールはその事に興味を持ち、現場の捜査に向かった」という始まりです。
なぜこのような導入にしたのか、解説します。
今回の環サスでお伝えしたかったテーマの一つは、
「生き物を調べることで豊平川の過去の地形の動きを知ることができる」と言うことです。
この設定を伝えやすくするためにどうしたらいいのか?と制作スタッフは悩み、
「豊平川の川岸で巨大な木彫りのサケの像が発見された。この木像が一体いつ頃から、ここに埋まっていたのか?」について環境探偵ピエールが推理をしていくという設定で話をしていくことにしました。
参加された方の中には「サケの木像って何?」と思った方が多かったかと思います。
この巨大なサケ(鮭)の木像」は架空の物です。
会場でお見せしたサケの写真。
実はこの写真は生きたサケの写真ではなくサケの木像レプリカの写真なのです。うまく着色されているため本物のように見えますよね。これは、札幌市の真駒内にある「札幌市豊平川さけ科学館」に実際に展示されているものです。
当初は「木彫りのサケ」ではなく、「流木」、「宝物」、「河童の像」、「動物の死体」、「化石」「翡翠でできたサケの像」「貴金属や宝石」ど様々な埋まっている物を設定として考えてみました。
しかし、ピエールが捜査を始める動機、理由を考え、シンプルに説明できるものとして「木彫りのサケ」と言う設定を用いることにしたのです。
あなたは、どの設定が良かったかと思われますか?
環境サスペンスのストーリー上「木彫りのサケ」がサケである重要性はありませんでした。しかし、北海道の川を考える時川を遡って川底に産卵するサケという魚は何か川の自然環境を象徴しているように感じます。
豊平川にサケを呼び戻そうという「カムバックサーモン運動」がかつて行われていました。ストーリーを考える上でそれも頭の片隅にありました。
こうして、ちょっと強引でしたが、この謎を解くために現場に向かい、生き物を調査している3人の証言者に話を聞くという形で環境サスペンスのお話を進めていきました。
「豊平川に秘められた過去」開催! [環境サスペンス]
ボソワール!こんばんは。ムッシュピエールです。
記念すべき第1回環境サスペンス「豊平川に秘められた過去」を開催しました。
これが環境探偵 ムッシュ ピエール福間です。皆さんのイメージと合っていたでしょうか?
会場には 多くの方に訪れていただけました。
みなさんが探偵見習いとなり、ピエールと一緒に3人の証言者に聞き込みを行いながら、豊平川に秘められた過去を推理してもらいました。
水生昆虫の話をして頂いた証言者ムッシュ布川!実際に川で調査をする時の格好で登場しました。
豊平川に秘められた過去など、当日のお話しや、会場で寄せられたご質問、会場では十分お伝えできなかった話などを、これから、少しづ書いていきます。 お楽しみに!
P.S.
環境サスペンス「豊平川に秘められた過去」をご覧になられた方々が、ブログに記事を書かれていますので、紹介していきます。
3人の証言者が語る豊平川の過去 [メイキング]
環境サスペンスの準備は大詰めを迎え、台本の精査を連夜行っています。
今回のシナリオで、伝えたいことのキーポイントは2つあります。
環境サスペンス「豊平川に秘められた過去」では、ファシリテーター役の環境探偵ピエールが、豊平川を舞台にしたある謎を推理するために、3人の証言者に聞き込みを行っていきます。
水生昆虫、化石と地質、河畔林という専門分野の異なる3人のゲストの方が証言者となり、それぞれの視点から読みとれる豊平川の過去について語ってもらうことになるのです。
3つの分野の話は実は、その専門分野についての話を単純にするのではありません。
それぞれの分野の視点から、実は、3人が同じように、豊平川での「川の地形の変化」について語るのです。
一見すると地形とは関係の薄そうな、虫や木、昔の貝の化石という生物について調査をし、指標にすると地形の変化について知ることができる。
これが、今回の話のキーポイントの一つです。
もう一つのキーポイント は、ある理由により3人の証言がもつれることです。
それは、3つの分野の指標からわかる過去の地形についての情報は、実は時間スケールの異なる情報だということです。
この2つのキーポイントを、環境探偵による謎ときという舞台設定によって、わかりやすく伝えようと考えています。
環境探偵ピエールが、3つの分野の情報を「あるツール」を使って整理していくのです。
どうやっったら会場の皆さんに、この考え方を理解してもらえるのかが、台本の中での悩みどころになっています。
豊平川の現場の河畔林 [メイキング]
現場の川のそばには河畔林があります。
河畔林は、川の影響を受けやすい林の呼び名です。川の横にあるため、川の水が増えると冠水しやすい立地になってます。大雨でさらに増水すると、木が流されることもあります。
今回の現場の河畔林は、数種類のヤナギやシラカンバといった樹種によってできた林です。樹種構成や樹高に着目してよく見ると、この河畔林には重要な特徴があることがわかってきます。これが、今回の環サスの重要な推理のポイントになってきます。
豊平川の現場の化石 [メイキング]
豊平川の現場の水生昆虫 [メイキング]
豊平川の現場では、水生昆虫、化石、河畔林を見ることができます。
川底の石をめくってみると簡単に、水生昆虫を見つけることができました。
これは、トビケラの仲間ですが、このように、糸のような物で石をつなぎ合わせて巣を作ります。
指で引っ張ってもなかなか石は取れません。強いですね。
豊平川の現場 [メイキング]
環境サスペンス「豊平川に秘められた過去」の現場検証に行って来ました。
ここでは、水生昆虫、化石、河畔林を見ることができます。
この場所を現場として設定し、昆虫、化石、河畔林の目から環境探偵が謎解きを行っていきます。
場所はこちらです。
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CoSTEP応援団例会にて [メイキング]
環境サスペンス「豊平川に秘められた過去」のシナリオはまだ制作途中です。
昨日は、CoSTEP応援団の例会の場を借りて、シナリオ構成案をみんなに聞いてもらいました。
初めて、内容を詳しく人前で話したのですが、プレゼン自体がまだボロボロ。説明していて自分が詰まってしまうところがあります。シナリオはまだまだ改良する必要がありますね。
自分がわかっていることを、初めて話を聞く人に理解してもらえるように伝えることは想像していた以上に難しいことを体験しました。
練習がひつようですね。
「サイエンスカフェ」って知ってますか? [知識の現場]
「サイエンスカフェ」という言葉をご存じでしょうか?
環境サスペンス「豊平川に秘められた過去」はサイエンスカフェと呼ばれる形式のイベントです。
サイエンスカフェはイギリスで始まった、飲み物を片手に科学の専門家と市民が気軽に科学の話をする参加型のイベントです。札幌では、北海道大学科学技術コミュニケータ養成ユニット(通称CoSTEP)が、毎月1回札幌駅前でサイエンス・カフェ札幌を開催されています。CoSTEPは、科学技術を市民にわかりやすく伝える人材育成を行っており、私もそこで学びました。環境サスペンスはこのCoSTEPで学ばれた多くの仲間の力を借りて企画運営を行ってます。
サイエンスカフェは決まった形態があるわけではなく、気軽に科学の話しをできる形態のイベント形式だと思います。サイエンス・カフェ札幌では、参加者との対話が重視されており、ゲストとの質問時間が30分以上も確保されているところが、特徴的だといえます。その特徴を活かして、さらに発展させた形として「環境サスペンス」は企画しています。
イベントの場だけで対話が終わるのではなく、その後も参加者間での対話が続いていく。
そんな仕組みづくり目指しているのです。